血圧を測定する計測器には、水銀血圧計・アネロイド血圧計・電子式血圧計(自動血圧計)などがあります。私たちが自分で血圧を測る時は、手首あるいは上腕式のデジタル自動血圧計を用いることがほとんどです。会社などではアームイン式の大型デジタル血圧計が設置されている場合もありますが、どちらも自分で簡単に血圧を測定することが出来ます。最近は病院などでもデジタル血圧計を使う場合が多いようですが、今回はアネロイド血圧計を使用した血圧測定方法を勉強したいと思います。
アネロイド血圧計のアネロイドとはギリシア語で液体(水銀)を使っていないという
意味で、原理は水銀血圧計と同じです。アネロイド血圧計は「聴診法(コロトコフ法・
K音法)」と呼ばれる方法で血圧を測ります。(電子式血圧計は「オシロメトリック法」
という測定方法となります)
聴診法は測定器のカフ(腕帯)で対象者の動脈部分を締め付けて血流を止め、締め付けを解いた際の血管内の脈音(コロトコフ音)で血圧値を測定するものです。脈音を聴診器で聴き取る方式で、最高血圧値は脈音が聴こえ始めの音、最低血圧値は脈音が消失したときの音で判断します。
☆測定手順概略☆
(1) 血圧計を垂直に検査台に設置し、対象者の測定部位(主に腕)を心臓と同程度の高さにします。この血圧計の場合、測定部位が心臓の高さと違っていると正確な数値を得ることはできないので注意が必要です。
(2) 血圧計のカフ(腕帯・マンシェットともいう)の空気を完全に抜いた状態で広げ、対象者の腕に巻き付けて留めます。このときカフのチューブが出ている部分を対象者の上腕動脈に当てるように、カフの下縁が肘窩より2~3センチ上に巻くのがコツです。
(3) 聴診器をカフに挿入し、肘上2~3センチの脈音が聴きやすい部位に調節します。聴診器を耳に装着して予想血圧値+20~30値まで加圧、いったん止めた後に減圧して血圧計の目盛りから最高血圧を測定します。続いてエアバルブを緩め、整脈音が消えたところでバルブを閉めて血圧計の目盛りから最低血圧を測定します。
*最初に聞こえる拍動音がコロトコフ音第1相で、この時点で目盛りを読むと最高血圧
が得られます。次に音が急にはっきりしてくるのが第2相で、また音調が代わって第3相となります。これらの違いがわからない場合、第1相を聞き逃して、実際より低く血圧を測定している可能性があるので注意が必要。コロトコフ音の第5相(聞こえなくなった時点)が最低血圧となります。
デジタル式血圧計の様に誰でも簡単に測定できる、というわけにはいかず、聴診器の使い方や減圧の要領、圧力計の針の見方など相応の修練が必要とされます。