美味しい麺を打つ上でその材料である小麦粉についても勉強してみたいと思います。
いままでは小麦粉の種類や質など考えずに麺を打っていましたが、小麦粉の違いによって味や食感がこれほど大きく変わるものとは思いませんでした。
今回は4種類の小麦粉を組み合わせただけですが、ここのところはハッキリ言って「ハマって」しまいそうです。
|
|
|
|
■小麦の構造 http://www.seifun.or.jp/
小麦は、外殻部分、胚乳部分、胚芽部分の三つの部分から成り立っています。
<外殻部分>
「ふすま」と呼ばれる硬い殻で、全体の13%を占め、その成分は繊維質、タンパク質、灰分(カリウム、カルシウム、リン、マグネシウムなど)。
<胚乳部分>
全体の85%に当たり、通常白い粉になる部分。成分はでんぷん質とタンパク質が大半で、灰分は微量。
<胚芽部分>
全体の2%程度。ビタミンB、ビタミンEが豊富。
■小麦粉の分類
小麦粉の分類には大きく分けて二通りあります。
●小麦粉中のタンパク質の含有量の違いによる分類。(強力粉、薄力粉など)
種類 |
用途 |
タンパク含量 |
粒度 |
強力 |
パン |
11.5〜13.5 |
粗 |
準強力 |
パン・中華麺 |
10.5〜11.5 |
粗 |
中力 |
麺・菓子 |
8.5〜10.5 |
細 |
薄力 |
菓子・天ぷら |
7.0〜8.5 |
甚細 |
|
●小麦粉中の灰分の割合による分類。(特等粉、一等粉など)
等級 |
特等 |
一等 |
二等 |
三等 |
末粉 |
灰分 |
0.3前後 |
0.4前後 |
0.5前後 |
0.9前後 |
1.2前後 |
|
■小麦のスペック http://www.maff.go.jp/j/tokei/kikaku/digest/pdf/pan_seizou.pdf
小麦は栽培季節(春小麦・冬小麦)や色(赤小麦・白小麦)、粒の硬さ、用途などで区別されています。
●硬質小麦:蛋白質を多く含んだ小麦。粉にして水で捏ねた時粘りと弾力が強く、パンや中華麺に向いている。強力粉に加工される。
[代表的銘柄:H.R.W.(アメリカ) D.N.S.(アメリカ) 1C.W.(カナダ) プライムハード(オーストラリア)]
●中間質小麦:蛋白質の含有量は中くらい。粉にして水で捏ねた時、延びが良く、乾麺や茹麺に向いている。中力粉に加工される。
[代表的銘柄:A.S.W.(オーストラリア) 国内産小麦(日本)]
●軟質小麦:蛋白質の含有量が少ない小麦。粉にして水で捏ねた時適度に柔らかく、菓子、天婦羅に向いている。薄力粉に加工される。
[代表的銘柄:W.W.(アメリカ)]
●デュラム小麦:非常に硬い小麦。「セモリナ」と呼ばれるあらびき状態で使われる。マカロニ・スパゲティ専用粉に加工される。
[代表的銘柄:アンバーデュラム(アメリカ) アンバーデュラム(カナダ)]
■グルテンについて
●グルテンとは
小麦粉中には蛋白質が6〜15%含まれている。いろいろな特性を持つ蛋白質が混在しているが,その約85%はグリアジンとグルテニン(両者はほぼ同量)である。小麦粉に水を加えて捏ねると,このグリアジンとグルテニンが絡み合ってグルテンができる。グルテニンは弾力に富むが伸びにくい性質の蛋白質であり,逆に,グリアジンは弾力は弱いが粘着力が強くて伸びやすい性質を持っている。この性質が異なる2つの蛋白質が結びつくと,両方の性質(粘着性と弾性)を適度に兼ね備えたグルテンになる。小麦を粉砕して利用するのは,グルテンを形成しやすくするためである。
●グルテンの質と量
・硬質小麦(強力粉) … グルテン含量が多く、質的にも弾性に富む。
・軟質小麦(薄力粉) … 〃
少なく、引っ張り強度が弱く切れやすい。
・中間質小麦 …
伸びは良いが、引っ張り強度が低い。
■灰分について
小麦粉における灰分含量は製粉効率を示す指標である。小麦粒中に上記の無機元素(灰分)は均等に存在するわけではなく、胚乳周辺部である皮部や胚芽に極在する。従って極端に灰分の高いものは、小麦粉中に皮部の細片(スペック)が多く混入している事の現われである。灰分は様々な無機塩類や無機元素から成り立っており、それらの組成は小麦育成期の土壌に起因している。地味・降雨その他の気候条件により大きく影響されてしまう。
●灰分が高くなる条件
・土壌水分が高い
・成熟期の気温が高い
・硬質小麦
春小麦
|
|
|
|
■カナダ産強力粉■
製造者:日東製粉
カナダ西部平原地方で栽培された小麦を使用した強力粉。
蛋白質:12%
|
|
■はるゆたかブレンド強力粉■
製造者:江別製粉
あの幻とも言われるハルユタカコムギ(30%)を中心に北海道産小麦(ホロシリ、ホクシンなど70%)をブレンドした小麦粉。2003年6月より、ハルユタカコムギの系統を受け継ぐ次世代品種「春よ恋」もブレンドされている。
蛋白質:11% 灰分:0.40%
|
|
■ファリーヌ薄力粉■
特に厳選した北海道産ホクシンコムギ100%で作られた小麦粉。薄力小麦の灰分の少ない中心部だけを使用。
蛋白質:8〜8.3% 灰分:0.34%
|
|
■ジョーカーAデュラムセモリナ粉■
製造者:日本製粉
カナダ産デュラム小麦100%使用。
蛋白質:13%
|
|
|
|
|
■小麦粉と麺
前出の小麦粉「カナダ小麦強力粉」「はるゆたかブレンド強力粉」「ホクシン薄力粉」「カナダ産デュラムセモリナ粉」を使用し麺を打ってみました。加水は約50%、炭酸カリウム塩系かん水(ボーメ5.7度)、いつもは卵白のみのところを全卵を使用。塩は1%弱です。粉の組合せで3パターン、麺の形状(ストレートとちぢれ)で都合6種類を試作、野菜室にて熟成(1.5日)させ試食した自己評価を以下に示します。
|
|
|
|
【熟成1.5日】
麺の味で好印象
●カナダ強力粉85%+ホクシン薄力粉15%のストレート
薄力粉のブレンドによって小麦粉本来の味が引き立つことが実感できました。ただ麺が若干弱くなりブツブツ切れやすくなっていたので、もう少しブレンドの比率など検討の余地があるかと思いました。
ちぢれ麺はつけ汁との相性が悪かったのか、麺の味をスポイルしてしまったようです。
食感で好印象
●カナダ強力粉85%+デュラム粉15%のストレート/ちぢれ
●はるゆたか強力粉85%+デュラム粉15%のストレート/ちぢれ
どちらもほぼ同じような食感でした。茹でのバラツキもあったのか思われますので甲乙は付け辛いです。ただ食感においてはデュラム粉のブレンドする効果に期待が出来ると思います。
|
|
|
カナダ強力粉85%+ホクシン薄力粉15%のちぢれ麺 |
カナダ強力粉85%+ホクシン薄力粉15%のストレート麺 |
|
|
|
はるゆたかブレンド強力粉85%+デュラム粉15%のちぢれ麺 |
はるゆたかブレンド強力粉85%+デュラム粉15%のストレート麺 |
|
|
|
カナダ強力粉85%+デュラム粉15%のちぢれ麺 |
カナダ強力粉85%+デュラム粉15%のストレート麺 |
|
|
|
|