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「とっちゃんらーめん」開店準備 -麺の考察 partT-
■美味しい麺■
美味しい麺と言ってもいろいろありますが、十人十色人それぞれに美味しいと感じるものは異なります。味であったり食感であったり、スープとの相性であったり…こんなことを考えると、目指すところが非常に曖昧になり、結局出来た麺は中途半端なものとなりがちです。
そんなわけで、今回は自分の好みを優先して麺を打ってみました。色々食べ歩いた結果より、以下の様な麺を想定してみたいと思います。
@芯に残る粘りというかモチッとした噛み心地があること。
A麺につやがあり、滑らかな食感があること。
B粉臭さを感じず、沢山食べても飽きない。

モチモチ感を出す為に、加水率を少し上げて塩の量も多少増やしてみようと思います。艶出しの為全卵から卵黄だけ使用することにしました。片栗粉も若干多めに使ってみます。小麦粉は北海道の春小麦(ハルユタカ)をブレンドした強力粉のみ、かん水は内モンゴル産の天然かん水を使用します。

レシピ参照:成美堂出版「自分で作るプロのラーメン」



■内モンゴルの天然「蒙古王かん水」
■内モンゴルの天然かん水
もともとラーメンの麺に使用するかん水は、内モンゴル奥地のかん湖より湧き出る水で小麦粉を捏ね麺を作ったところ、弾力があり舌ざわりの良い麺が出来たことから「かん水」として使われるようになったそうです。今回使用する「蒙古王かん水」は地下1400mの炭酸ナトリウムの結晶(かん石)層に圧力水を注入、飽和水を汲み上げ精製加工したものです。(右の写真は内モンゴルのかん水湖)
■棒目計
かん水を使う場合、その適正使用量を見極める為棒目計を使用します。これは液体の比重を計る測定器で、水に粉又は液体かん水を溶かしたときの密度を測定し定量管理します。水は水温によって体積が変化してしまう為、季節によってかん水使用量を微妙に調整します。一般的に中華麺で使用するかん水は5〜6棒目度とされています。
■棒目計の使い方
水を入れ水面が目盛「0」のところになるようにします。今回使用した器では水の量は1670ccでした。
器から半分ほど水をボールに移し、粉かん水を完全に溶かしきります。掻き回す時にかなり抵抗を感じますよ。
注意:器は必ずガラスやステンレス、プラスチックを使用すること。鉄・アルミ・ホーロー製品は表面を侵してしまいます。
溶かしたかん水液を器に戻し、よく掻き回してから棒目計を入れると写真のように浮き上がります。この時の水面のところの目盛がこのかん水液の棒目度となります。粉かん水73g溶かして5.9棒目度でした。


■麺打ち作業
■小麦粉
今回使用した小麦粉「ハルユタカ(ブレンド)強力粉」は、北海道のパン屋さん健康社さんから通販で購入しました。春蒔小麦ハルユタカはグルテン含有量が若干少ない、パン用の国産小麦です。しかし最近では中華麺でも使用されるところが増えております。まだ勉強しなければいけないところがありますが、この健康社さん推奨する小麦粉に賭けてみたいと思います。
■塩
前回の塩のところでも紹介していますが、こちらも内モンゴル産の大自然が生み出した自然塩です。今回はきりっとした塩の旨味、含有水分が少なく食材への浸透性が早いなどの理由でこの塩を使用します。塩を使うのにはタンパク質溶解作用を利用してグルテンを形成する目的があり、かん水と共に麺にコシを出す重要な役割があります。
■打ち粉など
打ち粉はコーンスターチを使用します。片栗粉は麺の艶出しに5g使用します。
■分量と手順
小麦粉は330g(約4人分)です。一度ふるいにかけておきます。
5.8棒目度のかん水140ccと塩7gを完全に塩が溶けるまで掻き回し溶かします。これが不十分だと塩が粉全体に混ざらずに麺に均一なコシが出てこなくなります。今回の加水率は約49%で以前より若干水が多めです。塩は全体の約2%となっています。
さらに塩を溶かしたかん水に卵黄を1個加えて撹拌しておきます。今までは全卵を使っていたのですが、ある雑誌を読んだとき艶出しで黄身だけを使う方法が紹介されていましたのでこれを参考にしてみました。
3回の水回しでフレーク状にしながら段々と生地をまとめ、一旦団子にする。このあとビニールをかぶせて足で踏み込みます。踏み広げては4つにたたみ、また踏み広げ…と約20分繰り返します。
袋から出しさらに手で捏ね上げて、艶が出て指で押した時自然と弾力で戻ってくるようになったら生地の完成です。手で軽く押しつぶし打ち粉を振ってビニール袋にくるみ1時間から1.5時間寝かします。
寝かし終えたら袋から取り出し、打ち粉を振って生地を厚さ5〜7mmぐらいの厚さに伸ばします。再度打ち粉をして麺棒に巻きつけながら伸していきます。
直径で60〜70cmぐらいになったら伸しは終わりです。通常厚さは2mm弱ぐらいを目標にしますが、太麺・細麺により加減します。
伸し終えた生地を折りたたみ、麺切り包丁で切り分けます。たたんだときの折り返し部分は少しずらしてピラミッド型になるような感じにしておくと切り易い。麺は約130gずつ4つに分けます。このとき手でぎゅっと揉んで縮れをつけておきます。ビニール袋に入れて冷蔵庫で保存。日持ちはあまりよくないので、2〜3日中には食べきってしまいます。


■麺の出来具合い
■作品-つけ麺
麺を味わうのにはつけ麺が良いだろうと、参考作品として用意してみました。麺の茹で時間は約2分半。ちょっと柔らかめに茹でて冷水で素早く絞めます。驚きですが、いきなり自分の理想に近い麺が完成しました!色艶もよく、粉臭さ・嫌味なかん水臭さもなくモチモチ・シコシコと。結局マダムが1.5玉(195g)、店主が2玉(260g)食べてしまいました。飽きない麺とはこのことか???
■つけ麺のたれ
思いのほかうまくいったのがつけ麺のタレです。塩ラーメン用のスープ1Lに昆布・椎茸・煮干・鮭節・宗田節・鯖節で取った出しを300cc加えます。それにいつもの醤油ダレ80ccとXO醤・豆板醤を小さじ半分ずつをあわせました。具は特にありませんが、豚ひき肉をラードで炒めたものと万能ネギを薬味として使用。思わず微笑む美味さでした。





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